- 歌の意味
-
竜田川は色が紅になったことだ。山の紅葉が今は散っているらしい。
- 鑑賞
-
巻第七 秋歌下 413
詞書「題しらず」
竜田川の水の色が紅になった、上流の山の紅葉が今は散っているらしいと詠んだ歌である。川の色の変化から、目に見えない山の紅葉の散るさまを推し量っている。
本巻の第四百十三首から第四百十六首までは、川を流れる紅葉を詠む歌が続いている。在原業平の小倉百人一首の歌「ちはやぶる神代も聞かず竜田川からくれなゐに水くくるとは」も、紅葉に染まる竜田川を詠んでいる。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「竜田川」は、大和の国の竜田山のふもとを流れる川で、紅葉の名所である。次歌と第四百十六首も初句に「竜田川」を置いている。
二句「色紅に」は、色が紅に、の意である。
三句「なりにけり」の「けり」は気づきの詠嘆で、なったことだ、の意である。ここで句切れとなる。
四句「山の紅葉ぞ」は、山の紅葉が、の意で、「ぞ」は係助詞である。
結句「今は散るらし」の「らし」は根拠のある推定の助動詞で、今は散っているらしい、の意である。川の色の変化を根拠として推し量っている。
くれなゐ:鮮やかな赤色
- 作者
-
よみ人しらず
- 出典
-
後撰和歌集
- 前の歌
-
紅葉葉の降りしく秋の山辺こそ たちて悔しき錦なりけれ
- 次の歌
-
竜田川秋にしなれば山近み 流るる水も紅葉しにけり