紅葉葉の降りしく秋の山辺こそ
たちて悔しき錦なりけれ
- 歌の意味
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紅葉が降り敷く秋の山辺こそ、立ち去るのが悔やまれる錦、裁つのが惜しまれる錦であったよ。
- 鑑賞
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巻第七 秋歌下 412
詞書「題しらず」
紅葉が一面に降り敷いた秋の山辺こそ、立ち去るのが悔やまれる錦であったと詠んだ歌である。紅葉の敷きつめた山辺を錦に見立て、その美しさに立ち去りがたい心を、錦を裁つ惜しさに重ねている。
前歌が散ってしまった紅葉を悔やんだのに対し、本歌は散り敷いた紅葉の山辺から立ち去ることを悔やんでいる。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「紅葉葉の」は、紅葉した木の葉が、の意である。
二句「降りしく秋の」は、一面に降り敷く秋の、の意である。
三句「山辺こそ」は、山のあたりこそ、の意で、「こそ」は強めの係助詞である。
四句「たちて悔しき」の「たつ」は、その場を「立つ」意と、錦を「裁つ」意を掛けた掛詞で、立ち去るのが悔やまれる、の意である。
結句「錦なりけれ」は、錦であったよ、の意で、三句の「こそ」と已然形「けれ」が係り結びをなしている。
たつ:その場を「立ち去る」意と、錦を「裁つ」意を掛ける
ふりしく:一面に降り敷く
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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あしひきの山の紅葉は散りにけり 嵐の先に見てましものを
- 次の歌
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竜田川色紅になりにけり 山の紅葉ぞ今は散るらし