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契り置くその言の葉に身を変へて
後の世にだに逢ひ見てしかな

歌の意味
あなたが約束しておいてくれたその言葉と引き替えに我が身を捨てて、せめて来世でだけでも逢いたいものだ。
鑑賞
巻第十二 恋歌二 750

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 約束しておいたその言葉と引き替えに身を捨てて、せめて後の世でだけでも逢いたい、と詠む。この世では逢えずに終わるとしても、交わした約束の言葉を頼みとして命を捨て、来世にこそ逢いたいという、死をも辞さない恋の思いを表している。
 本巻の第七百十二首も三句を「身を変へて」とする。第七百十二首が相手と身を入れ替えたいと詠んだのに対し、本歌は約束の言葉と身を引き替えにすると詠み、同じ句を異なる意で用いている。「言の葉」は第七百三十一首にも詠まれ、第七百十五首の「この世ならでも」とは来世の逢瀬を願う点で通う。

 初句「契り置く」は、約束しておく、の意で、二句の「言の葉」にかかる。
 二句「その言の葉に」は、その約束の言葉に、の意である。本巻の第七百三十一首の結句「言の葉もがな」と同じ語を用いる。
 三句「身を変へて」は、我が身と引き替えにして、の意である。本巻の第七百十二首の三句と同じ句であるが、ここでは身を捨てて、の意となる。
 四句「後の世にだに」の「後の世」は来世、「だに」は最小限の願いを表す副助詞で、せめて来世でだけでも、の意である。第七百十五首の四句「この世ならでも」と、来世の逢瀬を願う点で通う。
 結句「逢ひ見てしかな」の「てしかな」は自己の願望を表す終助詞で、逢いたいものだ、の意である。

ちぎりおく:約束しておく
のちのよ:来世
作者
よみ人しらず
出典
千載和歌集
前の歌
暮れにとも契りて誰か帰るらん 思ひ絶えたる曙の空
次の歌
誰ゆゑかあくがれにけん雲間より 見し月影はひとりならじを