み山出でて夜半にや来つる郭公
暁かけて声の聞こゆる
- 歌の意味
-
山奥を出て、夜中のうちにやって来たのだろうか。ほととぎすの声が、明け方にかけて聞こえてくることだ。
- 鑑賞
-
巻第二 夏歌 101
詞書「天暦御時歌合に」
明け方にかけてほととぎすの声が聞こえるのを、山奥を出て夜中のうちにやって来たのだろうかと推し量る歌である。声だけを頼りにほととぎすの道のりを思い描き、夜通し耳を澄ましていた心がうかがえる。詞書によれば、前歌と同じく村上天皇の天暦の御代に催された歌合の歌である。
作者の「平兼盛」は、光孝天皇の流れをくむ平氏の出で、平安時代中期の歌人である。天徳四年の内裏歌合での活躍で知られ、三十六歌仙に数えられる。
初句「み山出でて」は、山奥を出て、の意で、前歌の四句「み山を出づる」と同じ趣向を受け継ぐ。
二句「夜半にや来つる」は、夜中に来たのだろうか、の意で、「や」は疑問の係助詞であり、「つる」は完了の助動詞「つ」の連体形で結ぶ。ここで句切れとなる。
三句「郭公」は、山を出て里へやって来たほととぎすをいう。
四句「暁かけて」は、明け方にかけて、の意である。前歌が今朝の初声を詠んだのに対し、本歌は夜半から暁へと時の幅を広げている。
結句「声の聞こゆる」は、声が聞こえることだ、の意で、連体形で止めて余韻を残す。
よは:夜中。夜半
あかつき:夜明け前のまだ暗い頃。暁
- 作者
-
平兼盛
- 出典
-
拾遺和歌集
- 前の歌
-
ほのかにぞ鳴き渡るなる郭公 み山を出づる今朝の初声
- 次の歌
-
都人寝で待つらめや郭公 今ぞ山辺を鳴きて出づなる