水の綾に紅葉の鏡重ねつつ
川瀬に波のたたぬ日ぞなき
- 歌の意味
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水面の綾模様に、紅葉を映す鏡のような水面を重ねながら、川瀬に波の立たない日はないことだ。
- 鑑賞
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巻第三 秋歌 197
詞書「大井河に紅葉の流るるを見て」
大井川の水面にできる綾のような波紋に、紅葉を映す鏡のような水面を重ねながら、川瀬では波の立たない日がないと詠む歌である。水面の波紋を織物の綾に見立て、「たた」に波が立つ意と布を裁つ意とを響かせている。詞書によれば、大井川に紅葉が流れるのを見て詠んだ歌である。
作者の「健守法師」は、平安時代中期の僧と見られるが、伝の詳細は明らかでない。
なお本文の二句は「紅葉の鏡」とあり、読み仮名の行の「もみちのにしき」と一致しない。ここでは本文の表記に従う。
初句「水の綾に」は、水面に生じる綾織物のような波紋に、の意で、字余りとなっている。
二句「紅葉の鏡」は、紅葉を映す鏡のような水面をいう。読み仮名の行に従えば「紅葉の錦」となり、前歌の四句と同じ語句となる。
三句「重ねつつ」は、重ねながら、の意で、「つつ」は反復と継続を表す。
四句「川瀬に波の」は、川の浅瀬に立つ波をいう。本巻の第百四十三首の「川瀬に波の」と同じ語句で、同歌が天の川の波を詠んだのに対し、本歌は大井川の波を詠んでいる。
結句「たたぬ日ぞなき」は、「たた」に波が立つ意と、綾を裁つ意を掛けた掛詞である。「ぞ」の係り結びにより連体形の「なき」で結ぶ。本巻の第百九十一首の結句「鳴かぬ日ぞなき」と同じ形の二重否定で、毎日のことであると強調している。
あや:綾織物。また水面の波紋をそれに見立てていう。綾
たつ:波が立つ意と、綾を裁つ意を掛ける
- 作者
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健守
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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秋霧のたたまく惜しき山路かな 紅葉の錦織りつもりつつ
- 次の歌
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名を聞けば昔ながらの山なれど 時雨るる秋は色まさりけり