秋霧のたたまく惜しき山路かな
紅葉の錦織りつもりつつ
- 歌の意味
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秋霧が立ちこめるのも、錦を裁つようで惜しい山道であることよ。紅葉の錦が織り重なり、積もり続けているので。
- 鑑賞
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巻第三 秋歌 196
詞書「題しらず」
紅葉の錦が織り重なるように散り積もっている山道なので、秋霧が立ってそれを隠すのも、錦を裁つようで惜しいと詠む歌である。「たた」に霧が立つ意と錦を裁つ意とを掛け、紅葉を錦に見立てる趣向を重ねている。
初句「秋霧の」は、秋に立つ霧をいう。
二句「たたまく惜しき」は、「たた」に霧が立つ意と、錦を裁つ意を掛けた掛詞で、「まく」は推量の助動詞「む」のク語法である。結句の「錦」「織り」と縁語をなしている。
三句「山路かな」は、山道であることよ、の意で、「かな」は詠嘆の終助詞である。ここで句切れとなり、下の句とは倒置の関係になる。
四句「紅葉の錦」は、色とりどりの紅葉を錦に見立てた語である。本巻の第百八十首で草花の野辺が唐錦に見立てられたのを受け、ここでは紅葉が錦とされる。本歌から、紅葉を錦に見立てる歌がたびたび現れる。
結句「織りつもりつつ」は、織り重なって積もり続けて、の意で、「つつ」は反復と継続を表す。倒置によって、霧の立つのが惜しい理由を後から示している。
たつ:霧が立つ意と、錦を裁つ意を掛ける
にしき:色とりどりの糸で模様を織り出した絹織物。錦
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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紅葉葉を今日はなほ見ん暮れぬとも をぐらの山の名には障らじ
- 次の歌
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水の綾に紅葉の鏡重ねつつ 川瀬に波のたたぬ日ぞなき