声高く三笠の山ぞ呼ばふなる
あめの下こそ楽しかるらし
- 歌の意味
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声高く三笠の山が呼ばわっているようだ。天の下は、きっと楽しく治まっているらしい。
- 鑑賞
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巻第五 賀歌 274
詞書は前の歌に続き「天暦の帝四十になりおはしましける時、山科寺に金泥寿命経四十巻を書き供養し奉りて、御巻数鶴にくはせて洲浜に立てたりけり、その洲浜の敷物にあまたの歌葦手に書ける中に」
三笠の山が声高く呼ばわっているのが聞こえると詠み、天下が楽しく治まっているのだろうと御代を言祝ぐ歌である。漢の武帝が嵩山に登った時、山から万歳を唱える声が聞こえたという故事を踏まえ、興福寺に近い三笠山に万歳の声を響かせている。詞書によれば、前歌と同じく村上天皇の四十の賀の折、洲浜の敷物に書かれた歌の一首である。
作者の「仲算法師」は、興福寺の僧で、法相宗の学僧として知られる。
初句「声高く」は、声高く、の意である。
二句「三笠の山ぞ」は、大和国の三笠山で、春日大社の背後にあり、興福寺に近い山である。「笠」は四句の「あめ」と縁語になる。
三句「呼ばふなる」は、呼びかけているようだ、の意で、「なる」は声を聞いて判断する推定の助動詞であり、係助詞「ぞ」を受けて連体形で結ぶ。ここで句切れとなる。
四句「あめの下こそ」は、天下の意の「天の下」と、「笠」の縁で「雨の下」とを掛け、係助詞「こそ」で強めている。
結句「楽しかるらし」は、楽しいらしい、の意で、「らし」は山の声を根拠とした推定であり、係助詞「こそ」を受けて結ぶ。前歌の松と岩の祈りに対し、ここでは山の声によって御代の安らかさを言祝いでいる。
あめ:天の意と、笠の縁で雨の意とを掛ける
よばふ:呼び続ける。呼びかける
- 作者
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仲算
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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山科の山の岩根に松を植ゑて 常磐堅磐に祈りつるかな
- 次の歌
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色変へぬ松と竹とのすゑのよを いづれ久しと君のみぞ見ん