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色変へぬ松と竹とのすゑのよを
いづれ久しと君のみぞ見ん

歌の意味
色を変えない松と竹との行く末を、どちらがより久しいかと、あなただけが見届けることだろう。
鑑賞
巻第五 賀歌 275

詞書「承平四年中宮の賀し侍りける時の屏風に」
 常に緑を保つ松と竹の行く末のどちらがより長く続くかを、見届けることができるのはあなただけだと詠む歌である。長寿の象徴である松と竹の久しさを競わせ、それを見届けるほどの長寿を祝っている。詞書によれば、承平四年(934)に中宮の賀が催された時の屏風に添えた歌である。この中宮は醍醐天皇の中宮で朱雀天皇の母である藤原穏子とされ、この年は穏子の五十の賀にあたる。
 作者の「斎宮内侍」が誰を指すかについては定説を見ない。斎宮内侍は、伊勢の斎宮に仕えた女官の呼び名である。

 初句「色変へぬ」は、色を変えない、の意で、常緑をいう。本巻の第二百六十四首の結句「色は変はらじ」と同じく、変わらぬ色に長久を託している。
 二句「松と竹との」は、松と竹との、の意で、いずれも常緑で長寿の象徴とされる。次歌の第二百七十六首は竹の杖を詠んでいる。
 三句「すゑのよを」は、行く末の意の「末の世」と、竹の節と節の間をいう「節(よ)」とを掛ける。本巻の第二百九十七首も笛竹の「すゑのよ」を詠んでいる。
 四句「いづれ久しと」は、どちらが久しいかと、の意である。
 結句「君のみぞ見ん」は、あなただけが見るだろう、の意で、係助詞「ぞ」を受けて推量の助動詞「ん」の連体形で結ぶ。

よ:行く末の意の世と、竹の節と節の間の意とを掛ける
ちゆうぐう:皇后の御所。また皇后
作者
斎宮内侍
出典
拾遺和歌集
前の歌
声高く三笠の山ぞ呼ばふなる あめの下こそ楽しかるらし
次の歌
一節に千代をこめたる杖なれば つくともつきじ君が齢は