東路の草葉を分けん人よりも
後るる袖ぞまづは露けき
- 歌の意味
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東国への道の草葉を分けて行く旅の人よりも、あとに残される私の袖のほうが、まず先に露で濡れることだ。
- 鑑賞
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巻第六 別歌 323
詞書は前の歌に続き「同じ御乳母の餞に、殿上の男ども、女房など別れ惜しみ侍りけるに」
東国への道の草葉を分けて露に濡れて行く旅人よりも、あとに残される自分の袖のほうが先に涙で濡れると詠む歌である。旅路の露と見送る側の涙とを比べ、残される者の悲しみの深さを表している。詞書によれば、前歌と同じ乳母肥後の餞別の席で詠んだ歌である。
作者の「女蔵人参河」は、村上天皇の時代に宮中に仕えた女蔵人で、参河はその女房名である。伝は明らかでない。
初句「東路の」は、東国へ向かう道の、の意である。出羽へは東山道を経て下るので、旅路を東路と呼んでいる。
二句「草葉を分けん」は、草の葉を分けて進むであろう、の意で、「ん」は推量の助動詞である。草葉には露が置くので、旅人の袖が濡れることを暗示している。
三句「人よりも」は、旅立つ人よりも、の意である。
四句「後るる袖ぞ」は、あとに残される者の袖が、の意で、係助詞「ぞ」による強調である。次歌の第三百二十四首も同じ「後るる袖」を詠み、残される側の涙を詠む歌が並ぶ。
結句「まづは露けき」は、まず先に露に濡れる、の意で、係助詞「ぞ」を受けて連体形「露けき」で結ぶ。次歌の「まづ涙こそ」と響き合っている。
あづまぢ:都から東国へ向かう道
おくる:あとに残される。先立たれる
をんなくらうど:宮中で雑事に仕えた下級の女官。女蔵人
- 作者
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女蔵人参河
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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惜しむともかたしや別れ心なる 涙をだにもえやはとどむる
- 次の歌
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別るればまづ涙こそ先に立て いかで後るる袖の濡るらん