世とともにあかしの浦の松原は
波をのみこそよると知るらめ
- 歌の意味
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いつも明るい明石の浦の松原は、夜というものを知らず、ただ波が寄ることだけを「よる」と知っているのだろう。
- 鑑賞
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巻第八 雑歌上 464
詞書「明石の浦のほとりを、舟に乗りてまかりけるに」
いつも明るい明石の浦の松原は、夜を知らず、波が寄ることだけを「よる」と知っているのだろうと詠む歌である。詞書から、明石の浦のほとりを舟で通った折の歌とわかる。地名の「明石」に「明かし」を、「よる」に「寄る」と「夜」を掛け、明るく美しい浦の景を機知に富んだ表現で称えている。前の歌群の松に続いて松原を詠み、本巻の第四百七十七首にも明石の浦が詠まれている。
作者の「源為憲」は、源忠幸の子で、平安時代中期の文人である。源順に師事し、三宝絵、口遊などを著した。
初句「世とともに」は、いつも、絶えず、の意である。
二句「あかしの浦の」は、明石の浦の、の意である。「あかし」は地名の「明石」と、明るい意の「明かし」とを掛けた掛詞である。
三句「松原は」は、松原は、の意で、前の歌群から続く松を詠んでいる。
四句「波をのみこそ」は、波だけを、の意で、「こそ」は強意の係助詞である。
結句「よると知るらめ」は、寄ると知っているのだろう、の意で、係助詞「こそ」を受けて已然形の「らめ」で結んでいる。「よる」は波が「寄る」意と「夜」とを掛けた掛詞で、明るい浦の松原は夜を知らないという機知である。
あかし:地名の明石と、明るい意の明かしを掛ける
よる:波が寄る意と、夜を掛ける
- 作者
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源為憲
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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いたづらに世にふる物と高砂の 松も我をや友と見るらん
- 次の歌
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藻刈舟今ぞ渚に来寄すなる 汀の鶴の声騒ぐなり