久方の月の桂も折るばかり
家の風をも吹かせてしがな
- 歌の意味
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月に生えるという桂の枝をも折るほどに、学問の家の家風を吹かせてほしいものだ。
- 鑑賞
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巻第八 雑歌上 473
詞書「菅原の大臣冠し侍りける夜、母の詠み侍りける」
月の桂の枝をも折るほどに、学問の家の家風を吹かせてほしいと詠む歌である。詞書から、菅原道真が元服した夜に、その母が詠んだ歌とわかる。学者の家に生まれた子が、試験に及第して家の名を高めることを、風が月の桂を折るほど吹くという形で願っている。前歌の第四百七十二首が及第のかいがないと嘆いたのに対し、この歌は及第を願う親心を詠み、同じ月の桂の故事を正反対の立場から詠んだ二首が並んでいる。
作者の「菅原の大臣の母」は、菅原是善の妻で、菅原道真の母である。伴氏の出とされる。本巻の第四百七十九首、第四百八十首に、道真自身の歌が収められている。
初句「久方の」は、「月」を導く枕詞である。
二句「月の桂も」は、月に生えるという桂も、の意で、前歌の二句「折りし桂の」と同じく、試験の及第をたとえる故事を踏まえている。
三句「折るばかり」は、折るほどに、の意で、ここで風が桂の枝を折るほど強く吹く意を表している。
四句「家の風をも」は、家の風をも、の意で、代々学問で仕えてきた菅原家の家風をいう。「風」は三句の「折る」と結びつき、枝を折る風の意を重ねている。
結句「吹かせてしがな」は、吹かせてほしいものだ、の意で、「てしがな」は自己の願望を表す終助詞である。
かぶり:冠。元服して初めて冠を着けること
いへのかぜ:家風。その家に代々伝わる流儀
- 作者
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菅原道真の母
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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昔我が折りし桂のかひもなし 月の林の召しに入らねば
- 次の歌
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月草に衣は摺らん朝露に 濡れての後はうつろひぬとも