住吉のきしもせざらんものゆゑに
ねたくや人にまつと言はれむ
- 歌の意味
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住吉の岸ではないが、来もしないであろう人のために、いまいましくも、住吉の松のように人を待っていると言われるのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十 神楽歌 587
来もしないであろう人のために、住吉の松のように待っていると人に言われるのはいまいましいと詠む歌である。住吉の「岸」に「来し」、「松」に「待つ」を掛け、住吉の浜の景物を用いて、待っても来ない人を待つ悔しさを表している。
本文には詞書の記載がなく、詞書の欄に「ある人の言はく、住吉明神の託宣とぞ」と注記があり、住吉の神のお告げの歌と伝えられていることが記されている。作者の記載もない。
次の第五百八十九首と第五百九十首は、いずれも結句を「住吉の松」とし、住吉の神と松を詠む歌が続いていく。
初句「住吉の」は、摂津国の住吉の、の意で、住吉大社のある地である。
二句「きしもせざらん」は、「きし」が住吉の「岸」と、来る意の「来し」を掛ける掛詞である。「ざら」は打消の助動詞「ず」、「ん」は推量の助動詞で、来もしないであろう、の意を表す。
三句「ものゆゑに」は、〜であるのに、の意で、逆接を表す。
四句「ねたくや人に」は、いまいましくも人に、の意で、係助詞「や」は結句の「む」で結ぶ係り結びである。
結句「まつと言はれむ」は、「まつ」が住吉の「松」と「待つ」を掛ける掛詞である。次の第五百八十九首と第五百九十首の結句「住吉の松」へとつながっていく。
きし:住吉の「岸」と、来る意の「来し」を掛ける
まつ:住吉の「松」と、「待つ」を掛ける
たくせん:託宣。神のお告げ
- 出典
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しなが鳥猪名の伏原飛びわたる 鴫が羽音おもしろきかな
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木綿襷かくる袂はわづらはし ゆたけに解けてあらむとを知れ