木綿襷かくる袂はわづらはし
ゆたけに解けてあらむとを知れ
- 歌の意味
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木綿襷をかける袂は窮屈でわずらわしい。ゆったりとくつろいで過ごすことになるのだと知れ。
- 鑑賞
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巻第十 神楽歌 588
詞書「左兵衛督高遠、賀茂に七日詣でけるはての夢に、御社よりとて、千早着たる嫗の文を持てまで来たりけるを、開けて見侍りければ、かく書きて侍りける、その後大弐になりて侍りける」
木綿襷をかける袂はわずらわしい、これからはゆったりとくつろいで過ごすことになると知れと告げる歌である。詞書から、左兵衛督藤原高遠が賀茂社に七日間参詣した満願の夜の夢に、御社からといって千早を着た老女が手紙を持って来たので、開けて見るとこの歌が書かれており、その後高遠は大宰大弐になったとわかる。神事に仕える窮屈さから解かれ、ゆったりと過ごせる地位を得ることを、賀茂の神が夢で告げた歌として伝えられている。
作者の記載はなく、詞書から賀茂の神のお告げの歌とされている。藤原高遠は、藤原斉敏の子で、藤原実資の兄にあたる。左兵衛督などを経て大宰大弐となった。
第五百九十三首の三句にも「木綿襷」が詠まれ、神に仕える姿を示す語として共有されている。
初句「木綿襷」は、木綿で作った襷の意で、神事に奉仕する者がかけるものである。第五百九十三首の三句「木綿襷」と同じ語である。
二句「かくる袂は」は、襷をかける袂は、の意で、「かくる」は「かく」の連体形である。
三句「わづらはし」は、窮屈でわずらわしい、の意で、ここで句切れとなる三句切れの歌である。
四句「ゆたけに解けて」は、ゆったりと襷を解いてくつろいで、の意で、二句の襷を「かくる」に対して「解けて」と応じている。
結句「あらむとを知れ」は、過ごすことになるのだと知れ、の意で、「む」は推量の助動詞、「を」は強めの助詞である。命令形で結び、神のお告げの趣を表している。
ゆふだすき:木綿襷。木綿で作った襷。神事に奉仕する者がかける
ちはや:千早。神事に奉仕する者が着る白い上衣
おうな:嫗。年老いた女
だいに:大弐。大宰府の次官
- 出典
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住吉のきしもせざらんものゆゑに ねたくや人にまつと言はれむ
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