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祈ぎかくる日吉の社の木綿襷
草のかき葉も言止めて聞け

歌の意味
祈りをかける日吉の社の木綿襷よ。草の葉までも言葉を止めて、この祈りを聞け。
鑑賞
巻第十 神楽歌 593

詞書「日吉の社にて詠み侍りける」
 日吉の社で木綿襷をかけて祈るので、草の葉までも言葉を止めてこの祈りを聞けと詠む歌である。詞書から、日吉大社で詠んだ歌とわかる。草木までも静まりかえって祈りに耳を傾けよと命じる、厳かな祈りの歌である。四句は、大祓の祝詞に見える、草の片葉までも言葉を止めるという表現に通うとされる。
 作者の実因は、天台宗の僧で、比叡山で学び、大僧都に至った。日吉大社は比叡山の麓にあり、延暦寺の鎮守として崇められた。
 前の第五百八十八首の初句にも「木綿襷」があり、神に仕える姿を示す語を共有している。

 初句「祈ぎかくる」は、祈りをかける、の意で、「ねぐ」は神に祈る意である。
 二句「日吉の社の」は、近江国の日吉大社の、の意である。
 三句「木綿襷」は、神事に奉仕する者がかける木綿の襷で、初句の「かくる」と縁がある。前の第五百八十八首の初句「木綿襷」と同じ語である。
 四句「草のかき葉も」は、草の葉までも、の意で、大祓の祝詞に通う表現とされる。
 結句「言止めて聞け」は、言葉を止めて聞け、の意で、命令形で結んでいる。

ねぐ:祈ぐ。神に祈る
ひえ:日吉。近江国の日吉大社。比叡山の麓にある
ゆふだすき:木綿襷。木綿で作った襷。神事に奉仕する者がかける
作者
実因
出典
拾遺和歌集
前の歌
生ひ茂れ平野の原のあや杉よ 濃き紫にたち重ぬべく
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大淀の禊幾世になりぬらん 神さびにたる浦の姫松