あまた見し豊の禊のもろ人の
君しも物を思はするかな
- 歌の意味
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大嘗会の御禊の日に大勢見た人々の中で、ほかならぬあなたが、私に物思いをさせることだ。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌一 662
詞書「大嘗会の御禊に物見侍りける所に、童の侍りけるを見て、又の日つかはしける」
大嘗会の御禊で大勢の人を見たが、その中でほかならぬあなたが自分に物思いをさせると詠む歌である。詞書から、大嘗会の御禊を見物していた所に童がいたのを見て、翌日贈った歌とわかる。多くの人の中からただ一人に心を奪われた思いを、「君しも」と強めて表している。第六百三十六首の実頼の歌がわずかに見た人を恋うのと同じく、一目見たことから始まる恋を詠む。
作者の寛祐法師は、平安時代中期の僧とされるが、詳しい経歴は伝わらない。
初句「あまた見し」は、大勢見た、の意で、「し」は過去の助動詞「き」の連体形である。
二句「豊の禊の」は、大嘗会に先立って天皇が川原で行う御禊の、の意で、「豊」は美称である。
三句「もろ人の」は、多くの人々の中で、の意である。
四句「君しも物を」は、ほかならぬあなたが、の意で、「しも」は強めの副助詞である。
結句「思はするかな」は、物思いをさせることだ、の意で、「する」は使役の助動詞「す」の連体形、「かな」は詠嘆を表す。
とよのみそぎ:豊の禊。大嘗会に先立って天皇が川原で行う禊
もろびと:諸人。多くの人々
だいじやうゑ:大嘗会。天皇の即位後に初めて行う新嘗祭
わらは:童。子ども
- 作者
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寛祐
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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奥山の岩垣沼の水隠りに 恋ひや渡らん逢ふよしをなみ
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玉簾糸の絶え間に人を見て すける心は思ひかけてき