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久しくも思ほえねども住吉の
松や二たび生ひかはるらん

歌の意味
私には久しいとも思われないけれども、住吉の松が二度生え変わるほどの時が経ったというのだろうか。
鑑賞
巻第十二 恋歌二 741

詞書「返し」
 私には久しいとも思われないが、住吉の松が二度も生え変わるほどの時が経ったというのだろうかと答える歌である。前歌の第七百四十首の贈歌に対する返しで、久しく訪れなかったことを詫びる男に、私はそれほど久しいとは思っていないと切り返している。千年の命を持つ住吉の松が生え変わるほどというのは大げさだと、男の言い訳めいた詫びを皮肉にかわしている。
 作者の「忠房がむすめ」は藤原忠房の娘で、名は伝わらない。父の忠房は管絃にすぐれた歌人である。

 初句「久しくも」は、久しいとも、の意で、前歌の第七百四十首の三句「久しくも」を受けている。
 二句「思ほえねども」は、思われないけれども、の意で、「ね」は打消の助動詞「ず」の已然形、「ども」は逆接を表す。
 三句「住吉の」は、摂津国の住吉の、の意で、前歌の初句「住吉の」を受けている。
 四句「松や二たび」は、松が二度も、の意で、係助詞「や」は結句の連体形「らん」で結ぶ係り結びである。
 結句「生ひかはるらん」は、生え変わったのだろうか、の意で、「らん」は現在推量の助動詞である。前歌の二句「松ならねども」の松を受け、大げさな詫びを皮肉に返している。

おもほゆ:思ほゆ。自然に思われる
おひかはる:生ひ変はる。生え変わる
作者
藤原忠房の娘
出典
拾遺和歌集
前の歌
住吉の松ならねども久しくも 君と寝ぬ夜のなりにけるかな
次の歌
なにせむに結びそめけん岩代の 松は久しきものと知る知る