忍ぶれば苦しかりけり篠すすき
秋の盛りになりやしなまし
- 歌の意味
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恋を忍んでいると苦しいことだった。篠すすきが秋の盛りに穂を出すように、いっそ思いを表に出してしまおうか。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌二 770
詞書「題しらず」
恋を忍んでいるのは苦しい、篠すすきが秋の盛りに穂を出すように、いっそ思いを表に出してしまおうかと詠む歌である。初句の「忍ぶ」と同じ音の「篠すすき」を置き、穂を出して目立つ秋のすすきに、隠しきれずに表れる恋を重ねている。第七百三十九首の、忍ぶのは苦しいのでいっそ現れてしまえばよいと詠む心に通じる歌である。
作者の「勝観法師」は、平安時代中期の僧とされるが、伝は詳らかでない。
初句「忍ぶれば」は、恋を忍んでいると、の意で、「ば」は已然形について、〜すると、の意を表す。
二句「苦しかりけり」は、苦しいことだった、の意で、「けり」は気づきの詠嘆を表す。ここで句切れとなる二句切れの歌である。本巻の第七百三十九首の二句「思へば苦し」と、忍ぶ恋の苦しさを共有している。
三句「篠すすき」は、細いすすき、または篠竹とすすきの意で、初句の「忍ぶ」と同じ音を響かせている。
四句「秋の盛りに」は、秋の盛りに、の意で、すすきが穂を出す時節をいい、恋が表に表れることを思わせる。
結句「なりやしなまし」は、なってしまおうか、の意で、「や」は疑問、「な」は完了、「まし」はためらいの意志を表す。
しのすすき:篠薄。細いすすき、また篠竹とすすき
- 作者
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勝観
- 出典
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拾遺和歌集
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蚊遣り火は物思ふ人の心かも 夏の夜すがら下に燃ゆらん
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