降らぬ夜の心を知らで大空の
雨をつらしと思ひけるかな
- 歌の意味
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雨の降らない夜にも来ないあの人の心を知らないで、大空の雨を恨めしいと思っていたことよ。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌三 797
詞書の記載はない
雨の降らない夜にも来ない恋人の本心を知らずに、来ないのは雨のせいだと大空の雨を恨んでいたことよと詠む歌である。雨が恋人の訪れを妨げていると思っていたが、晴れた夜にも来ないことで、実は恋人の心が離れていたと気づいた嘆きを詠んでいる。
作者の「春宮左近」は、春宮に仕えた左近と呼ばれた女房の呼称で、誰を指すかについて定説を見ない。春宮は皇太子のことである。なお本文では作者名が詞書の位置に記されており、詞書の記載はない。
初句「降らぬ夜の」は、雨の降らない夜の、の意である。前の第七百九十六首までの月の夜の歌から、雨の夜の歌へと移っている。
二句「心を知らで」は、恋人の本心を知らないで、の意で、「で」は打消の接続助詞である。
三句「大空の」は、大空の、の意である。
四句「雨をつらしと」は、雨を恨めしいと、の意で、来ないのは雨のせいだと思っていたことを表す。第七百九十九首の二句「人をつらしと」と、「つらし」の語を共有している。
結句「思ひけるかな」は、思っていたことよ、の意で、「ける」は気づきを表す助動詞「けり」の連体形、「かな」は詠嘆を表す。
おほぞら:大空。広い空
- 作者
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春宮左近
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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ことならば闇にぞあらまし秋の夜の なぞ月影の人頼めなる
- 次の歌
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衣だに中にありしはうとかりき 逢はぬ夜をさへ隔てつるかな