いにしへをいかでかとのみ思ふ身に
今宵の夢を春になさばや
- 歌の意味
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昔のように、なんとかして戻りたいとばかり思っている私の身にとって、今夜のその夢を、昔の春のような現実にしたいものだ。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌三 810
詞書「広幡の御息所、久しう内にも参らざりける、夢になむ、例のやうにて内に候ひ給ひつると人の言ひ侍りけるを聞きて」
昔のようになんとか戻りたいとばかり思う私には、その夢を昔の春のような現実にしたいと詠む歌である。詞書から、長く宮中に参内していなかった作者が、夢の中で以前のように宮中に仕えていたと人から聞いて詠んだことがわかる。帝の寵愛を受けていた昔を懐かしみ、夢を現実にしたいと願う心を詠んでいる。
作者の「ひろはたのみやす所」は源計子である。源庶明の娘で、村上天皇の更衣となり、広幡御息所と呼ばれた。
初句「いにしへを」は、昔を、の意で、帝の寵愛を受けていた昔を言う。
二句「いかでかとのみ」は、なんとかして戻りたいとばかり、の意である。
三句「思ふ身に」は、思っている私の身に、の意である。
四句「今宵の夢を」は、今夜の夢を、の意で、詞書の人が見た夢を言う。前の第八百八首と第八百九首に続き、夢を詠む歌である。
結句「春になさばや」は、春にしたいものだ、の意で、「ばや」は自己の願望を表す。寵愛を受けていた昔の日々を春にたとえている。第八百三十首は、村上天皇が広幡御息所に贈った御製で、帝と御息所の歌が本巻で呼応している。
みやすどころ:御息所。天皇の寝所に仕える女御や更衣
いにしへ:古。過ぎ去った昔
- 作者
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源計子
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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うつつには逢ふこと難し玉の緒の よるは絶えせず夢に見えなん
- 次の歌
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忘らるる時しなければ春の田を かへすがへすぞ人は恋しき