うつつには逢ふこと難し玉の緒の
よるは絶えせず夢に見えなん
- 歌の意味
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現実には逢うことが難しい。玉を貫く緒を縒るように、夜は絶えることなく、あなたが夢に見えてほしい。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌三 809
詞書は前の歌に続き「題しらず」
現実には逢うことが難しいので、夜は絶えず夢に現れてほしいと願う歌である。玉の緒の縁語を用い、夢の中だけでも途切れずに逢いたいという切ない思いを詠んでいる。
作者の「ひとまろ」は柿本人麻呂である。飛鳥時代の宮廷歌人で、万葉集を代表する歌人として歌聖と仰がれ、三十六歌仙に数えられる。拾遺和歌集には、万葉集の歌が人麻呂の作として多く収められている。
初句「うつつには」は、現実には、の意で、夢と対比している。
二句「逢ふこと難し」は、逢うことが難しい、の意で、ここで句切れとなる。第七百八十四首の「逢ふ事はかたわれ月の」と、逢うことの難しさを共有している。
三句「玉の緒の」は、玉を貫く緒の、の意で、「縒る」「絶え」を導いている。
四句「よるは絶えせず」は、「よる」が「夜」と、緒を「縒る」を掛ける掛詞で、「絶え」は玉の緒の縁語である。
結句「夢に見えなん」は、夢に見えてほしい、の意で、「なん」は他に対する願望を表す。前歌の第八百八首の「夢をだに」を受け、夢に見ることを願う二首目である。
うつつ:現。現実
たまのを:玉の緒。玉を貫き通す緒
よる:「夜」の意と、緒を「縒る」意を掛ける
- 作者
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柿本人麻呂
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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夢をだにいかでかたみに見てしかな 逢はで寝る夜の慰めにせん
- 次の歌
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いにしへをいかでかとのみ思ふ身に 今宵の夢を春になさばや