秋萩の下葉を見ずは忘らるる
人の心をいかで知らまし
- 歌の意味
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秋萩の色づいた下葉を見なかったならば、私を忘れていく人の心をどうして知ることができただろうか。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌三 838
詞書「中将の御息所のもとに、萩につけてつかはしける」
秋萩の下葉が色づくのを見なければ、私を忘れていくあなたの心をどうして知ることができただろうかと詠む歌である。詞書から、中将の御息所のもとに、萩の枝に添えて贈った歌とわかる。下葉から色づき移ろう萩に、目立たぬところで変わりゆく相手の心を重ねている。
作者の「広平親王」は、村上天皇の第一皇子である。母は藤原元方の娘の祐姫で、兵部卿に任じられた。
初句「秋萩の」は、秋萩の、の意である。前歌の第八百三十七首の四句「植ゑし秋萩」と、秋萩を共有している。
二句「下葉を見ずは」は、色づいた下葉を見なかったならば、の意で、「ずは」は打消の仮定を表す。第八百四十首の二句「下葉ばかりと」と、下葉の語を共有している。
三句「忘らるる」は、忘れていく、の意である。第八百十一首の初句「忘らるる」と同じ語であるが、そちらが自分が忘れることを言うのに対し、ここでは相手が忘れていくことを言う。
四句「人の心を」は、あなたの心を、の意である。
結句「いかで知らまし」は、どうして知ることができただろうか、の意で、「まし」は反実仮想を表す。
したば:下葉。草木の下の方の葉。秋に先に色づく
- 作者
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広平親王
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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恋しくは形見にせむと我が宿に 植ゑし秋萩今盛りなり
- 次の歌
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標結はぬ野辺の秋萩風吹けば とふしかくふし物をこそ思へ