標結はぬ野辺の秋萩風吹けば
とふしかくふし物をこそ思へ
- 歌の意味
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囲いのしるしも結んでいない野辺の秋萩が、風が吹くとあちらに伏しこちらに伏しするように、私もあれこれと思い乱れていることだ。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌三 839
詞書「題しらず」
しめ縄も張られない野辺の秋萩が風に吹かれてあちこちに伏すように、私もあれこれと思い乱れると詠む歌である。上の句の風になびく萩の景が序詞となり、誰のものとも定まらない恋の不安と、千々に乱れる心を重ねている。
初句「標結はぬ」は、しめ縄を張っていない、の意で、誰のものとも定まっていないことを言う。
二句「野辺の秋萩」は、野辺に咲く秋萩、の意である。前の第八百三十七首と第八百三十八首に続き、秋萩を詠む三首目である。
三句「風吹けば」は、風が吹くと、の意である。初句からここまでが序詞となる。
四句「とふしかくふし」は、あちらに伏しこちらに伏し、の意で、風になびく萩のさまと、あれこれ思い乱れる心を重ねている。
結句「物をこそ思へ」は、思い乱れていることだ、の意で、係助詞「こそ」を受けて「思へ」と已然形で結んでいる。
しめ:標。所有や立入禁止を示すために張る縄
とふしかくふし:あちらに伏しこちらに伏しして
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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秋萩の下葉を見ずは忘らるる 人の心をいかで知らまし
- 次の歌
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移ろふは下葉ばかりと見しほどに やがてもあきになりにけるかな