移ろふは下葉ばかりと見しほどに
やがてもあきになりにけるかな
- 歌の意味
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色が変わるのは下葉だけだと見ていたうちに、そのまま秋が深まるように、あの人はすっかり私に飽きてしまったことよ。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌三 840
詞書は前の歌に続き「題しらず」
色が変わるのは下葉だけだと思っていたうちに、そのまま秋になったように、恋人はすっかり私に飽きてしまったと詠む歌である。「あき」に季節の「秋」と心の「飽き」を掛け、少しずつ移ろう心を見過ごしているうちに、気づけば心が離れていた嘆きを詠んでいる。
作者の「中宮内侍」は、中宮に仕えた内侍の女房の呼称で、誰を指すかについて定説を見ない。内侍は、内侍司に仕えて天皇への取り次ぎや宮中の礼式をつかさどる女官である。
初句「移ろふは」は、色が変わるのは、の意で、心変わりを重ねている。第八百四十二首の四句「移ろはむとは」と、移ろうの語を共有している。
二句「下葉ばかりと」は、下葉だけだと、の意である。前の第八百三十八首の二句「下葉を見ずは」と、下葉の語を共有している。
三句「見しほどに」は、見ていたうちに、の意である。
四句「やがてもあきに」は、そのまま、の意の「やがて」に続け、「あき」が季節の「秋」と、心の「飽き」を掛ける掛詞である。
結句「なりにけるかな」は、なってしまったことよ、の意で、「ける」は気づきの詠嘆を表す。
うつろふ:移ろふ。色が変わる。心が変わる
あき:季節の「秋」と、心の「飽き」を掛ける
- 作者
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中宮内侍
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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標結はぬ野辺の秋萩風吹けば とふしかくふし物をこそ思へ
- 次の歌
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言の葉も霜にはあへずかれにけり こやあきはつるしるしなるらん