なかなかに言ひも放たで信濃なる
木曽路の橋のかけたるやなぞ
- 歌の意味
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いっそきっぱりと言い放ってしまえばよいのに、そうもしないで、信濃にある木曽路の架け橋のように、どうして私を心にかけたままにしておくのか。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 865
詞書「女のもとに遣はしける」
いっそはっきりと拒んでくれればよいのに、そうもせず、信濃の木曽路の架け橋のように宙に懸けたままにしておくのはなぜかと、女に訴える歌である。拒みもせず受け入れもしない相手の態度への、もどかしさを詠んでいる。
詞書によれば、女のもとに贈った歌である。木曽路の架け橋は、信濃国の険しい木曽の谷に架けられた桟道で、危うく宙に懸かるものとして詠まれる。前歌に続き、橋を詠む一連の三首目である。
作者の「源頼光」は、清和源氏の源満仲の長男で、摂津守などを務め、藤原道長に仕えた武人である。酒呑童子退治の伝説で知られる。
初句「なかなかに」は、いっそのこと、中途半端であるよりはかえって、の意である。
二句「言ひも放たで」は、きっぱりと言い放ちもしないで、の意で、「で」は打消の接続助詞である。
三句「信濃なる」は、信濃国にある、の意で、「なる」は存在を表す。
四句「木曽路の橋の」は、木曽路の架け橋の、の意である。前歌の第八百六十三首の「久米路の橋」、第八百六十四首の「長柄の橋柱」に続き、橋を詠む一連を結んでいる。
結句「かけたるやなぞ」は、架けたままなのはなぜか、の意で、「かけ」は橋を「架け」る意と、心に「懸け」る意を掛けた掛詞である。「なぞ」は理由を問う語で、本巻の第八百六十首の結句「恋しきやなぞ」と、「やなぞ」の結びを共有している。
きそぢのはし:木曽路の橋。信濃国の木曽の谷に架けられた桟道の架け橋
かく:橋を「架く」意と、心に「懸く」意を掛ける
いひはなつ:言ひ放つ。きっぱりと言い切る
- 作者
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源頼光
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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限りなく思ひながらの橋柱 思ひながらになかや絶えなん
- 次の歌
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杉立てる宿をぞ人は尋ねける 心のまつはかひなかりけり