ひのもとに咲ける桜の色見れば
人の国にもあらじとぞ思ふ
- 歌の意味
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灯火のもとに咲いている桜の色を見ると、日の本に咲く桜のこの美しさは、よその国にもあるまいと思う。
- 鑑賞
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巻第十六 雑春歌 1050
詞書「清慎公家の侍に、ともし火のもとに桜の花を折りて挿して侍りけるを詠み侍りける」
灯火のもとに咲く桜の色を見ると、日の本の桜のこの美しさはよその国にもあるまいと思うと詠む歌である。詞書から、清慎公藤原実頼の家の侍の詰め所で、灯火のもとに桜の枝を折って挿してあったのを詠んだ歌とわかる。「灯の下」と「日の本」を掛け、灯火に照らされた桜の美しさを、我が国ならではのものとたたえている。本巻の第千四十八首と同じく、清慎公の家で桜を詠んだ歌である。
作者の「兼盛弟」は、平兼盛の弟とされる人物で、名は伝わらない。
なお本文の三句は「色見れば」とあり、読み仮名の行の「はなみれは」と一致しない。ここでは本文の表記に従う。
初句「ひのもとに」は、「ひのもと」が「灯の下(ともし火のもと)」と、我が国の意の「日の本」を掛ける掛詞である。
二句「咲ける桜の」は、咲いている桜の、の意で、「る」は存続の助動詞「り」の連体形である。
三句「色見れば」は、色を見ると、の意で、「ば」は已然形について、〜すると、の意を表す。
四句「人の国にも」は、よその国にも、の意で、初句の「日の本」と対をなしている。
結句「あらじとぞ思ふ」は、あるまいと思う、の意で、「じ」は打消推量の助動詞、係助詞「ぞ」を受けて連体形の「思ふ」で結ぶ係り結びである。
ひのもと:「灯の下(ともし火のもと)」と、「日の本(日本)」を掛ける
ひとのくに:人の国。よその国、外国
さぶらひ:侍。貴人の家に仕える者の詰め所
- 作者
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平兼盛の弟
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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東路の野路の雪間を分けて来て あはれ都の花を見るかな
- 次の歌
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み山木の二葉三葉にもゆるまで 消えせぬ雪と見えもするかな