さわらびや下にもゆらん霜枯れの
野原の煙春めきにけり
- 歌の意味
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早蕨が地面の下で萌え出しているのだろうか。野焼きの火が燃える霜枯れの野原の煙は、もう春めいてきたことだ。
- 鑑賞
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巻第十七 雑秋歌 1154
詞書「東宮の御屏風に、冬野焼く所」
霜枯れの野原を焼く煙が春めいて見えるのは、地面の下で早蕨が萌え出しているからだろうかと詠む歌である。詞書から、東宮の屏風に描かれた、冬の野を焼いている絵に添えた歌とわかる。「もゆ」に「萌ゆ」と「燃ゆ」を掛け、冬の野焼きの景に、すでに兆している春の気配を見出している。
作者の藤原通頼は、詳しい伝が明らかでない人物である。
初句「さわらびや」は、芽を出したばかりの蕨が、の意で、「や」は疑問の係助詞である。
二句「下にもゆらん」は、「もゆ」が早蕨が「萌ゆ」と、野焼きの火が「燃ゆ」を掛ける掛詞で、地面の下で萌え出しているのだろうか、の意となる。「らん」は現在推量の助動詞の連体形で、初句の「や」を受けた係り結びである。ここで句切れとなる二句切れの歌である。
三句「霜枯れの」は、霜にあたって草木が枯れた、の意で、本巻の第千百四十三首の四句「霜かれがれに」、次歌の第千百五十五首の初句「霜枯れに」と、霜枯れを詠む点で通じている。
四句「野原の煙」は、野焼きの煙、の意である。
結句「春めきにけり」は、春めいてきたことだ、の意で、「けり」は気づきの詠嘆を表す。ここから第千百五十七首まで、年の暮れに春を待つ歌が続いている。
さわらび:早蕨。芽を出したばかりの蕨
もゆ:早蕨が「萌ゆ」意と、野焼きの火が「燃ゆ」意を掛ける
しもがれ:霜枯れ。霜にあたって草木が枯れること
- 作者
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藤原通頼
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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元結に降り添ふ雪の雫には 枕の下に浪ぞ立ちける
- 次の歌
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霜枯れに見えこし梅は咲きにけり 春には我が身逢はむとはすや