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もろともに同じ都は出でしかど
つひには春に別れぬるかな

歌の意味
春といっしょに同じ都を旅立ったけれども、旅の途中でとうとう春と別れてしまったことだ。
鑑賞
巻第二 春歌下 130

詞書「行路三月尽といへる心をよめる」
 「行路三月尽(旅路の三月尽)」という題で詠んだ歌である。春のうちに都を旅立ったので、春とはいっしょに同じ都を出たのに、旅を続けるうちに三月が尽き、とうとう春と別れてしまった、と詠む。春を旅の道連れに見立て、旅の途中で連れと別れるさびしさに、春の終わりを重ねている。
 作者の「琳賢法師」は橘義済の子とされる僧で、伝は詳らかでない。

 初句「もろともに」は、いっしょに、の意で、春と自分とがともにあったことを示す。
 二句「同じ都は」は、同じ都を、の意で、春とともに都を出発したことをいう。
 三句「出でしかど」の「しか」は過去の助動詞「き」の已然形、「ど」は逆接で、出たけれども、の意となる。
 四句「つひには春に」の「つひに」は、とうとう、最後には、の意である。
 結句「別れぬるかな」の「ぬる」は完了の助動詞「ぬ」の連体形、「かな」は詠嘆の終助詞である。本巻の第百二十一首「春とともにや帰らまし」が春とともに帰ろうと詠んだのに対し、本歌は春とともに旅立ちながら別れてしまったと詠む。

もろともに:いっしょに
作者
琳賢
出典
千載和歌集
前の歌
いづかたと春の行方は知らねども 惜しむ心の先に立つらん
次の歌
花はみな四方の嵐に誘はれて ひとりや春の今日は行くらん