いづかたと春の行方は知らねども
惜しむ心の先に立つらん
- 歌の意味
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どちらの方へと、春の行方はわからないけれども、春を惜しむ心は、春よりも先に立って行くのだろう。
- 鑑賞
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巻第二 春歌下 129
詞書は前の歌に続き「三月尽の心をよみ侍りける」
前歌と同じく「三月尽」を題として詠んだ歌である。去ってゆく春がどちらへ向かうのか、その行方はわからないけれども、春を惜しむ心は、春に先立ってその行く先へと向かってゆくのだろう、と詠む。行方の知れない春をも追いかけてゆく心の動きに、惜春の情の強さを表している。三月尽の一連はここで結ばれる。
作者の「藤原経家朝臣」は藤原重家の子である。六条藤家の歌人で、のちに正三位に至った。
初句「いづかたと」は、どちらの方へと、の意である。
二句「春の行方は」は、去ってゆく春の行き先は、の意である。本巻の第百二十二首「春のとまりを知る人ぞなき」と同じく、春の行方の知れなさを詠む。
三句「知らねども」の「ね」は打消の助動詞「ず」の已然形、「ども」は逆接で、知らないけれども、の意となる。
四句「惜しむ心の」は、春を惜しむ心が、の意である。本巻の第百二十五首と同じ句で、春を惜しむ心を主語とする。
結句「先に立つらん」の「らん」は現在推量の助動詞で、先に立って行くのだろう、の意である。春の行方は知らずとも、心が先回りして春を追うさまを示す。
ゆくへ:行き先
- 作者
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藤原経家
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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身の憂さも花見しほどは忘られき 春の別れを嘆くのみかは
- 次の歌
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もろともに同じ都は出でしかど つひには春に別れぬるかな