焼き捨てし古野の小野の真葛原
玉巻くばかりなりにけるかな
- 歌の意味
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春に野焼きをして焼き捨てた古い野の、その野原の葛原は、もう若葉が玉のように巻くほどに伸びたことだ。
- 鑑賞
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巻第三 夏歌 145
詞書「山里にこれかれまかりて歌よみ侍りけるに、野草をよめる」
人々と連れ立って山里に出かけ、歌を詠んだ折に、「野草」を題として詠んだ歌である。春に野焼きをして焼き払った野原の葛が、初夏にはもう若葉を玉のように巻くほどに伸びている、と詠む。焼け野から再び草が萌え出る生命力と、季節の移り変わりの早さとに目を留めた一首である。
作者の「藤原定通」は伝の詳らかでない人物である。
初句「焼き捨てし」の「し」は過去の助動詞「き」の連体形で、春の野焼きで焼き払った、の意である。
二句「古野の小野の」の「古野」は、去年からの古い野、「小野」は野原をいう。
三句「真葛原」の「真」は美称の接頭語で、葛の生い茂る野原をいう。
四句「玉巻くばかり」は、葛の若葉が玉のように丸く巻くほどに、の意である。
結句「なりにけるかな」の「に」は完了の助動詞「ぬ」の連用形、「ける」は「けり」の連体形、「かな」は詠嘆の終助詞である。前の一連の卯の花に続き、初夏の野の草の生長を詠む。
をの:野原
まくずはら:葛の生い茂る野原
たままく:若葉が玉のように丸く巻く
まかる:出かける
- 作者
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藤原定通
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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卯の花の垣根とのみや思はまし 賤の伏屋に煙立たずは
- 次の歌
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葵草照る日は神の心かは 影さす方にまづなびくらん