散り積もる木の葉も風に誘はれて
庭にも秋の暮れにけるかな
- 歌の意味
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散り積もっていた木の葉までも風に誘われて吹き去られ、この庭にも秋は暮れてしまったことだ。
- 鑑賞
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巻第五 秋歌下 377
詞書「題しらず」
庭に散り積もっていた木の葉までも、風に誘われて吹き去られてしまい、この庭にも秋が暮れてしまった、と詠む。散り敷いた落葉が秋の名残であったのに、それさえ風に運ばれて消えたことで、秋の終わりをしみじみと感じている。
作者の「法橋慈弁」は法橋の僧位にあった僧であるが、詳しい伝は明らかでない。
本巻の第三百六十九首が庭に散り積もる紅葉を錦と見たのに対し、本歌はその散り積もった木の葉さえ風に吹き去られる庭を詠む。
初句「散り積もる」は、散って積もっている、の意である。本巻の第三百六十九首の「散りて積もれる」と同じく、庭に積もる落葉を詠む。
二句「木の葉も風に」の「も」は、秋の名残であった木の葉までも、の意である。
三句「誘はれて」の「誘ふ」は、風が花や葉を誘い出して運び去る意で、「れ」は受身の助動詞である。
四句「庭にも秋の」の「も」は、野山ばかりでなく庭にも、の意である。前歌の第三百七十六首の「庭」に続き、庭の秋を詠む。
結句「暮れにけるかな」の「に」は完了、「ける」は詠嘆の助動詞「けり」の連体形で、「かな」は詠嘆である。秋が暮れてしまった、と結ぶ。
さそふ:風が花や葉を誘い出して運び去る
このは:木の葉
- 作者
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慈弁
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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故郷の庭は木の葉に色変へて かはらの松ぞ緑なりける
- 次の歌
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秋の田に紅葉散りける山里を こともおろかに思ひけるかな