かき暗しこし路も見えず降る雪に
いかでか年の帰りゆくらん
- 歌の意味
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空を暗くして、越路も、年がたどって来た路も見えないほど降りしきる雪の中を、どうやって年は帰ってゆくのだろうか。
- 鑑賞
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巻第六 冬歌 469
詞書「雪中歳暮といへる心をよみ侍りける」
雪中歳暮、すなわち雪の中の年の暮れという題で詠んだ歌である。空を暗くして降りしきる雪のために、越路も年のたどって来た路も見えないのに、どうやって年は帰ってゆくのだろうか、と詠む。去ってゆく年を旅人に見立て、降りしきる雪に帰り道を見失うのではないかと案じている。
作者の「前大納言実長」は藤原実長である。平安時代末の公卿で、大納言に至った。
第四百六十九首から本巻の巻末の第四百七十五首までの七首は、年の暮れを詠む歌である。本歌は雪の歌と年の暮れの歌とをつなぐ位置にあり、「越路」「帰る」の語によって、本巻の第四百五十九首の「越路をかへる山」とも呼応している。
初句「かき暗し」の「かき暗す」は、空を一面に暗くする意で、雪が激しく降るさまをいう。
二句「こし路も見えず」の「こし」は、越の国へ通じる「越路」と、年がたどって来た「来し路」とを掛ける掛詞である。本巻の第四百五十九首の「越路」とつながる。
三句「降る雪に」は、降る雪のために、の意で、原因を示す。
四句「いかでか年の」の「いかでか」は疑問で、どのようにして、の意である。結句の「らん」と連体形で結ぶ。
結句「帰りゆくらん」は、年が帰ってゆくのだろう、の意で、年の暮れを年が去ってゆくことと見なす。本巻の第四百七十一首の「帰らむこと」、第四百七十三首の「帰らましかば」と、年の帰ることを詠む歌が続く。
かきくらす:空を一面に暗くする
こしぢ:越の国へ通じる「越路」と、年がたどって来た「来し路」を掛ける
- 作者
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藤原実長
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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山里の垣根の梅は咲きにけり かばかりこそは春も匂はめ
- 次の歌
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さりともと嘆き嘆きて過ぐしつる 年も今宵に暮れ果てにけり