一年ははかなき夢の心地して
暮れぬる今日ぞおどろかれける
- 歌の意味
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この一年は、はかない夢のような心地がして、暮れてしまった今日になって、はっと夢から覚めるように驚かされることだ。
- 鑑賞
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巻第六 冬歌 474
詞書「歳暮の心をよみ侍りける」
歳暮の題で詠んだ歌である。この一年ははかない夢のような心地がして、暮れてしまった今日になって、夢から覚めるように驚かされる、と詠む。過ぎてみればあっという間であった一年を夢にたとえ、年の終わりにその速さに気づかされる驚きを、夢から覚めることに重ねて表している。
作者の「前律師俊宗」は律師を務めた院政期の僧であるが、詳しい伝は明らかでない。
第四百六十九首から本巻の巻末の第四百七十五首までの七首は、年の暮れを詠む歌である。
初句「一年は」は、この一年は、の意である。本巻の第四百首が「一夜二夜」と夜の数で冬の深まりを詠んだのに対し、本歌は一年という尺度で時の速さを詠む。
二句「はかなき夢の」の「はかなし」は、あっけない、むなしい意である。前歌の第四百七十三首の「はかなく」と同じ語である。
三句「心地して」は、そのような気持ちがして、の意である。
四句「暮れぬる今日ぞ」の「ぬる」は完了の助動詞「ぬ」の連体形で、暮れてしまった今日、すなわち年の最後の日をいう。「ぞ」は強意の係助詞で、結句の「ける」と連体形で結ぶ。
結句「おどろかれける」の「おどろく」は、夢から目を覚ます意と、はっと驚く意とを掛ける掛詞で、二句の「夢」の縁語でもある。「れ」は自発の助動詞「る」の連用形、「ける」は詠嘆の助動詞「けり」の連体形である。
ひととせ:一年
おどろく:夢から目を覚ます意と、はっと驚く意を掛ける
- 作者
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俊宗
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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惜しめどもはかなく暮れてゆく年の しのぶ昔に帰らましかば
- 次の歌
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都にて送り迎ふと急ぎしを 知らでや年の今日は暮れなん