住の江にまつらむとのみ嘆きつつ
心つくしに年を経るかな
- 歌の意味
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故郷の住の江で家の者が待っているだろうとばかり嘆きながら、筑紫で気をもんで年を過ごすことだ。
- 鑑賞
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巻第八 羈旅歌 506
詞書「大隅の国の任果てて上らむとしけるを、大弐、沙汰すること未だしとて留め侍りければ、よめる」
大隅守の任期を終えて都へ上ろうとしたところ、大宰大弐が、任国の事務の処理がまだ済んでいないとして引き留めたので詠んだ歌である。故郷の住の江で家の者が待っているだろうとばかり嘆きながら、筑紫で気をもんで年を過ごすことだ、と詠む。住吉社の神主の家に生まれた作者が、故郷の住の江を思い、足止めされて帰れない嘆きを表している。
作者の「津守有基」は住吉社の神主家である津守氏の一族で、詞書によれば大隅守を務めた。
初句「住の江に」の「住の江」は摂津国の住吉の海辺で、作者の故郷であり、松の名所の歌枕である。
二句「まつらむとのみ」の「まつ」に、待つ意と、住の江の名物の松とを掛ける。「らむ」は現在推量で、家の者が待っているだろう、の意である。本巻の第五百二十一首は「待つらむと思ふ人はなけれど」と詠み、待つ人のいる本歌と、待つ人のいない第五百二十一首とが対をなしている。
三句「嘆きつつ」の「つつ」は反復継続の接続助詞で、嘆き続けながら、の意である。
四句「心つくしに」の「つくし」に、心を尽くして気をもむ意と、大宰府のある筑紫とを掛ける。
結句「年を経るかな」の「かな」は詠嘆の終助詞で、年を過ごすことだ、の意である。
だいに:大宰府の次官である大宰大弐
さた:処理、取り計らい
すみのえ:摂津国の住吉の海辺で、松の名所の歌枕
まつ:待つ意と、松を掛ける
つくし:心を尽くす意と、筑紫を掛ける
- 作者
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津守有基
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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宮木引くあつさの杣をかき分けて 難波の浦を遠ざかりぬる
- 次の歌
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別れ行く都の方の恋しきに いざ結び見む忘井の水