霰漏る不破の関屋に旅寝して
夢をもえこそ通さざりけれ
- 歌の意味
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霰が漏れ落ちる不破の関屋で旅寝をして、関は夢さえも通してはくれなかったことだ。
- 鑑賞
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巻第八 羈旅歌 540
詞書「旅の歌とてよめる」
旅の題で詠んだ歌である。霰が漏れ落ちる不破の関屋で旅寝をして、夢さえも通してはくれなかった、と詠む。荒れた関屋に霰が漏れ落ちる音で眠ることもできず、関が人を通さないように夢さえも通さなかったと見立て、旅寝のわびしさを表している。
作者の「大中臣親守」は伊勢神宮の祭主を世襲した大中臣氏の一族である。
初句「霰漏る」は、霰が屋根の隙間から漏れ落ちる、の意である。
二句「不破の関屋に」の「不破の関」は美濃国にあった関所の歌枕で、「関屋」は関所の番小屋である。本巻の第四百九十九首は須磨の関屋の板廂から月が漏れると詠み、月の漏る関屋と霰の漏る関屋とが対をなしている。
三句「旅寝して」は、旅寝をして、の意である。
四句「夢をもえこそ」の「も」は、人だけでなく夢までも、の意である。「え」は打消しと呼応して不可能を表し、「こそ」は係助詞で、結句の「けれ」と已然形で結ぶ。
結句「通さざりけれ」の「ざり」は打消しの助動詞「ず」の連用形、「けれ」は詠嘆の助動詞「けり」の已然形で、通すことができなかったことだ、の意である。関が旅人を通さないことに、夢を通さないことを重ねる。
ふはのせき:美濃国にあった関所で、歌枕
せきや:関所の番小屋
- 作者
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大中臣親守
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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旅寝する庵を過ぐるむら時雨 名残までこそ袖は濡れけれ
- 次の歌
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かくばかり憂き身のほども忘られて なほ恋しきは都なりけり