かくばかり憂き身のほども忘られて
なほ恋しきは都なりけり
- 歌の意味
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これほどつらい身の上であることも自然と忘れられて、それでもなお恋しいのは都であることだ。
- 鑑賞
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巻第八 羈旅歌 541
詞書「心の外なることありて、知らぬ国に侍りける時よめる」
思いもよらない事件があって、見知らぬ国にいた時に詠んだ歌である。作者は治承元年(1177)の鹿ケ谷の陰謀に加わったとして鬼界が島に流されており、その配流の地での作である。これほどつらい身の上であることも忘れて、それでもなお恋しいのは都であることだ、と詠む。流罪というつらい境遇さえ忘れさせるほどの、都への強い恋しさを表している。
作者の「平康頼(法名性照)」は後白河院に仕えた北面の武士である。治承元年(1177)の鹿ケ谷の陰謀に加わったとして、俊寛、藤原成経とともに鬼界が島に流され、翌年赦されて帰京した。出家して性照と号し、仏教説話集「宝物集」を著した。
本歌と次歌の第五百四十二首の二首は、鬼界が島に流された康頼の歌である。
初句「かくばかり」は、これほどまでに、の意である。本巻の第五百二十首も同じ「かくばかり」で始まる。
二句「憂き身のほども」の「ほど」は身の上、境遇の意で、流罪となったつらい身の上をいう。
三句「忘られて」の「られ」は自発の助動詞「らる」の連用形で、自然と忘れられて、の意である。
四句「なほ恋しきは」の「なほ」は、それでもやはり、の意である。
結句「都なりけり」の「けり」は気づきの詠嘆の助動詞で、恋しいのは都であったことだ、の意である。
うきみ:つらい身の上
ほど:身の上、境遇
- 作者
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平康頼
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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霰漏る不破の関屋に旅寝して 夢をもえこそ通さざりけれ
- 次の歌
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薩摩潟沖の小島に我ありと 親には告げよ八重の潮風