- 歌の意味
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千代を経ていくはずの御代の始めの春だと知っているかのような顔つきで、ふだんとは趣の異なる咲きぶりを見せる桜の花であることよ。
- 鑑賞
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巻第十 賀歌 623
詞書「二条院御時、大内におはしまして初めて、花有喜色といへる心を詠ませ給うけるに、詠み侍りける」
二条天皇が大内裏に移って初めて、「花に喜びの色あり」という題で歌を詠ませた折の歌である。千代を経ていく御代の始めの春と知っているかのように、いつもと様子の異なる桜の花であることよ、と詠む。新たな御所で迎えた初めての春の桜を、御代の始まりを喜ぶ花と見て、題の「喜色」を花の表情として描いている。
作者の「左大臣」は藤原経宗である。権大納言藤原経実の子で、左大臣に至り、大炊御門左大臣と呼ばれた。二条天皇の母方の伯父にあたる。本集の撰集当時に左大臣であったことから、この呼称で記されている。
本巻の第六百十七首の「千代の始めの」と同じく、千代の始まりを祝う歌である。次歌の第六百二十四首は二条天皇自身の歌である。
初句「千代経べき」の「べき」は推量の助動詞「べし」の連体形で、千代を経ていくはずの、の意である。
二句「始めの春と」は、御代の始めの春と、の意である。第六百十七首の四句「千代の始めの」と響き合う。
三句「知り顔に」は、知っているかのような顔つきで、の意で、花を人に見立てている。
四句「気色異なる」の「気色」は様子、ありさまの意で、ふだんとは様子が異なる、の意である。題の「喜色」を受ける。
結句「花桜かな」の「花桜」は桜の花である。「かな」は詠嘆の終助詞で、体言に付いて一首を結ぶ。
けしき:様子、ありさま、表情
しりがほ:知っているような顔つき
おほうち:大内裏、皇居
- 作者
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藤原経宗
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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吹く風も木々の枝をば鳴らさねど 山は八千代の声ぞ聞こゆる
- 次の歌
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白雲に羽うち付けて飛ぶ鶴の 遥かに千代の思ほゆるかな