頼めとや否とやいかにいな舟の
しばしと待ちしほども経にけり
- 歌の意味
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頼みにせよというのか、いやだというのか、どちらなのか。稲舟の「いな」ではないが、しばらく待てという言葉を信じて待った時も、もう過ぎてしまった。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌一 682
詞書は前の歌に続き「題しらず」
頼みにせよというのか、いやだというのか、どうなのか、稲舟の「いな」ではないが、しばらくと言われて待っていた時も過ぎてしまった、と詠む。「最上川のぼればくだる稲舟のいなにはあらずこの月ばかり」(古今和歌集、東歌)を踏まえ、「いな」の音を重ねて、はっきりした返事をくれないまま待たせ続ける相手に、どちらなのかと問い詰めている。
作者の「藤原惟規」は越前守藤原為時の子である。紫式部の兄弟にあたり、蔵人、式部丞を務めた。
前歌の第六百七十九首が、つれない心が変わるのを待つと詠んだのに続き、本歌も相手の返事を待ちわびる心を詠む。
初句「頼めとや」の「頼め」は頼みにせよの意で、「や」は疑問である。頼みにせよというのか、の意である。
二句「否とやいかに」の「否」は拒む意で、いやだというのか、どちらなのか、の意である。ここで句切れとなる。
三句「いな舟の」の「いな舟」は稲を積んだ舟で、二句の「否」と同音を重ねる。古今和歌集の東歌を踏まえ、四句の「しばし」を導く。
四句「しばしと待ちし」は、しばらくと言われて待っていた、の意である。古歌の「この月ばかり」を受け、しばらく待てとの言葉を思わせる。
結句「ほども経にけり」の「ほど」は時間、「に」は完了、「けり」は気づきの詠嘆で、その時も過ぎてしまったことだ、の意である。
いなぶね:稲を積んで運ぶ舟。否を響かせる
ほど:時間、期間
- 作者
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藤原惟規
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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恋しさを憂き身なりとて包みしは いつまでありし心なるらん
- 次の歌
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かくばかり色に出でじと忍べども 見ゆらむものを堪へぬけしきは