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かくばかり色に出でじと忍べども
見ゆらむものを堪へぬけしきは

歌の意味
これほどまでに色には出すまいと忍んでいるけれども、きっと見えてしまっているだろうに。堪えきれないこの様子は。
鑑賞
巻第十一 恋歌一 683

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 これほど色に出すまいと忍んでいるけれど、堪えきれない様子は見えているだろうに、と詠む。懸命に恋心を隠しているつもりでも、隠しきれない気配は人目に映っているにちがいないと、忍ぶ恋の危うさを自ら案じている。
 作者の「賢智法師」は平安時代後期の僧である。経歴の詳細は多く伝わらない。
 二句の「色に出でじ」は本巻の第六百四十六首の四句と同じ句で、第六百六十四首の四句「色には出でじ」とも共通する。また第六百四十九首の「堪へぬ思ひ」と同じく「堪へぬ」を詠む。

 初句「かくばかり」は、これほどまでに、の意である。
 二句「色に出でじと」の「じ」は打消し意志の助動詞で、表には出すまいと、の意である。第六百四十六首の四句と同じ句である。
 三句「忍べども」の「ども」は逆接で、忍んでいるけれども、の意である。
 四句「見ゆらむものを」の「らむ」は現在推量の助動詞、「ものを」は逆接の詠嘆で、見えているだろうに、の意である。ここで句切れとなり、結句と倒置の関係にある。
 結句「堪へぬけしきは」の「けしき」は様子、そぶりの意で、堪えきれない様子は、の意である。第六百四十九首の二句「堪へぬ思ひに」と共通する。

けしき:様子、そぶり
いづ:表に現れる
作者
賢智
出典
千載和歌集
前の歌
頼めとや否とやいかにいな舟の しばしと待ちしほども経にけり
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人知れず思ふ心はふかみ草 花咲きてこそ色に出でけれ