人知れず思ふ心はふかみ草
花咲きてこそ色に出でけれ
- 歌の意味
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人知れず思う心は深く、その名のとおりの深見草のようで、花が咲いて初めて色に表れることだ。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌一 684
詞書「夏に入りて恋まさるといへる心を詠める」
「夏に入りて恋まさる」という題で詠んだ歌である。人知れず思う心は深く、深見草が花咲いて色に出るように、ついに表に出てしまった、と詠む。夏に咲く牡丹の異名「深見草」に心の「深み」を掛け、季節が進んで花が咲き色を現すように、深まる恋心もついに表に現れたと、題の趣を植物の姿に託している。
作者の「賀茂重保」は賀茂別雷神社の神主である。賀茂社で歌合を催し、「月詣和歌集」を撰ぶなど、社家の歌壇の中心となった。
次歌の第六百八十五首は「思ひ草」を詠み、草の名に寄せて恋心を詠む二首が並ぶ。また本巻の第六百四十六首、第六百八十三首が「色に出でじ」と詠んだ忍ぶ心が、本歌では色に出てしまったと詠まれている。
初句「人知れず」は、人に知られないで、の意である。第六百五十八首、第六百八十七首も同じ初句で始まる。
二句「思ふ心は」は、恋い思う心は、の意である。
三句「ふかみ草」の「ふかみ」は、心が深い意の「深み」と、牡丹の異名「深見草」を掛ける。ここで句切れとなる。次歌の三句「思ひ草」と同じく草の名を詠む。
四句「花咲きてこそ」の「こそ」は強意の係助詞で、結句の「けれ」と已然形で結ぶ。夏に花が咲いて、の意で、題の「夏に入りて」を受ける。
結句「色に出でけれ」の「けれ」は気づきの詠嘆「けり」の已然形で、四句の「こそ」を受けて結ぶ。色に出たことだ、の意で、恋心が表に現れたことをいう。第六百四十六首の四句「色に出でじと」と対照をなす。
ふかみぐさ:牡丹の異名深見草と、心の深い意の深みを掛ける
いづ:表に現れる
- 作者
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賀茂重保
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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かくばかり色に出でじと忍べども 見ゆらむものを堪へぬけしきは
- 次の歌
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日を経つつ繁さはまさる思ひ草 逢ふことのはのなどなかるらん