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時鳥しのぶるころは山彦の
答ふる声もほのかにぞする

歌の意味
時鳥がまだ声をひそめて鳴いている頃は、山びこが答える声もかすかに聞こえることだ。
鑑賞
巻第三 夏歌 150

詞書「郭公の歌とてよめる」
 「時鳥」を題として詠んだ歌である。時鳥がまだ声をひそめて忍び音で鳴いている初夏の頃は、その声に答える山びこの声までもかすかである、と詠む。時鳥の声そのものではなく、それにこだまする山びこのかすかさによって、忍び音の小ささを間接的に表した点に趣向がある。
 作者の「賀茂重保」は賀茂神主賀茂重継の子である。賀茂別雷社の神主を務め、俊恵の歌林苑にも加わった。私撰集「月詣和歌集」を編んだことで知られる。

 初句「時鳥」は、一首の主題を示す。
 二句「しのぶるころは」の「しのぶ」は声をひそめる意で、時鳥が初夏にまだ声をひそめて鳴く忍び音をいう。
 三句「山彦の」は、山に声が反響するこだまをいう。
 四句「答ふる声も」は、時鳥の声に答える山びこの声も、の意である。
 結句「ほのかにぞする」の「ぞ」は係助詞で、「する」と連体形で結ぶ。こだまのかすかさで忍び音の小ささを示す。本巻の第百六十三首「ほのかにも鳴く」も、時鳥のかすかな声を詠む。

しのぶ:声をひそめる、忍び音で鳴く
やまびこ:山に声が反響するこだま
作者
賀茂重保
出典
千載和歌集
前の歌
二声と聞かでややまむ時鳥 待つに寝ぬ夜の数は積もりて
次の歌
あやしきは待つ人からか時鳥 鳴かぬにさへも濡るる袖かな