錦木の千束に限りなかりせば
なほ懲りずまに立てましものを
- 歌の意味
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錦木を立てるのが千束までと限られていなかったならば、それでもなお懲りずに立て続けようものを。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌二 726
詞書は前の歌に続き「題しらず」
錦木を立てるのが千束と限られていなかったならば、なお懲りずに立て続けるだろうに、と詠む。陸奥では男が求婚の印として女の家の門に錦木を立て、女が受け入れればそれを家に取り入れ、受け入れられなければ千束まで立て続けたという。その習わしを踏まえ、千束で尽きてしまう定めさえなければ、いつまでも求愛を続けるのにと、尽きることのない恋心を表している。
作者の「賀茂重保」は賀茂別雷神社の神主である。賀茂社で歌合を催し、「月詣和歌集」を撰ぶなど、社家の歌壇の中心となった。
結句の「立てましものを」は、本巻の第七百四十首の結句「言はましものを」と同じく、反実仮想の「まし」に「ものを」を添えた形である。
初句「錦木の」の「錦木」は、陸奥の求婚の習わしで、男が女の家の門に立てた彩色した木をいう。
二句「千束に限り」は、千束までという限度が、の意である。錦木は千束まで立てたとされる。
三句「なかりせば」の「せば」は反実仮想の条件で、結句の「まし」と呼応し、なかったならば、の意となる。
四句「なほ懲りずまに」の「懲りずまに」は、懲りもせずに、の意である。
結句「立てましものを」の「まし」は反実仮想の助動詞で、三句の「せば」と呼応する。「ものを」は逆接の詠嘆で、立て続けようものを、の意である。
にしきぎ:陸奥の求婚の習わしで、男が女の家の門に立てた彩色した木
ちづか:千束。錦木を立てる数の限りとされた
- 作者
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賀茂重保
- 出典
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千載和歌集
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なれて後死なん別れの悲しきに 命に代へぬ逢ふこともがな
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いかばかり恋路は遠きものなれば 年は行けども逢ふ夜なからん