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なれて後死なん別れの悲しきに
命に代へぬ逢ふこともがな

歌の意味
親しくなった後で死に別れることになるのは悲しいので、命と引き替えにしない逢瀬があればよいのに。
鑑賞
巻第十二 恋歌二 725

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 親しくなった後に死に別れるのは悲しいので、命と引き替えにしない逢瀬があればよい、と詠む。恋の歌では逢うためなら命も惜しくないと詠まれることが多いが、逢ってなじんだ後に死んで別れるのはかえって悲しいと考え、命を代償にしない逢瀬を願う、屈折した恋心の歌である。
 作者の「道因法師」は藤原清孝の子である。俗名は敦頼で、晩年まで和歌に深く執心したことで知られる。小倉百人一首にも歌が採られている。
 本巻の第七百二十八首は本歌と同じ初句「なれて後」で始まる。また第七百三十首は「逢ふことに代へんほどまで」、第七百三十四首は「命をば逢ふに代へんと」と、命と逢瀬を引き替えにすることを詠み、本歌の願いと対をなしている。

 初句「なれて後」は、親しく馴れ親しんだ後に、の意である。本巻の第七百二十八首も同じ初句で始まる。
 二句「死なん別れの」の「ん」は推量の助動詞「む」の連体形で、死んで別れるであろうことの、の意である。
 三句「悲しきに」は、悲しいので、の意で、四句以下の願いの理由を示す。
 四句「命に代へぬ」の「ぬ」は打消しの助動詞「ず」の連体形で、命と引き替えにしない、の意である。第七百三十首、第七百三十四首の命を逢瀬に代える思いと対をなす。
 結句「逢ふこともがな」の「もがな」は願望の終助詞で、逢瀬があればよいのに、の意である。

なる:馴れ親しむ。打ち解けて親しくなる
作者
道因
出典
千載和歌集
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我が恋は年経るかひもなかりけり うらやましきは宇治の橋守
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