いかにせむしのぶの山の下紅葉
しぐるるままに色のまさるを
- 歌の意味
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どうしたらよいのだろう。しのぶの山の下葉の紅葉が、時雨が降るにつれて色を深めていくように、忍ぶ恋も涙にぬれるたびに表に現れていくのを。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌一 691
詞書は前の歌に続き「題しらず」
どうしたらよいのか、しのぶの山の下紅葉が、時雨が降るままに色を増していくのを、と詠む。木の下葉の紅葉に人知れぬ恋心を重ね、涙の時雨にぬれるたびにその色が深まり、隠そうとしても表に現れてしまう恋のつらさを表している。
作者の「二条院前皇后宮常陸」は二条天皇の皇后に仕えた女房である。経歴の詳細は多く伝わらない。
前歌の第六百九十首と同じく「しのぶの山」と時雨を詠み、本歌は下紅葉の色がまさると詠んで前歌に応じている。初句の「いかにせむ」は本巻の第六百四十六首、第六百六十八首、第七百三首と同じである。また次歌の第六百九十二首も、袖に時雨が降り注ぐと詠む。
初句「いかにせむ」は、どうしたらよいだろう、の意で、ここで句切れとなり、結句と倒置の関係にある。第六百四十六首、第六百六十八首、第七百三首も同じ初句で始まる。
二句「しのぶの山の」の「しのぶ」は、陸奥国の信夫山と、恋心を忍ぶ意を掛ける。前歌の四句「しのぶの山も」と同じ歌枕である。
三句「下紅葉」は、木の下葉が紅葉したもので、人知れぬ恋心をたとえる。
四句「しぐるるままに」の「しぐるる」は時雨が降る意で、涙を流す意を重ねる。時雨が降るにつれて、の意である。
結句「色のまさるを」は、色が深まっていくのを、の意で、初句の「いかにせむ」へ返る。恋心が表に現れることを重ねる。
しのぶ:陸奥国の信夫と、恋心を忍ぶ意を掛ける
したもみぢ:木の下葉の紅葉
しぐる:時雨が降る。涙を流す意を重ねる
- 作者
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常陸
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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君恋ふる涙時雨と降りぬれば しのぶの山も色づきにけり
- 次の歌
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いつしかと袖に時雨のそそくかな 思ひは冬の初めならねど