君恋ふる涙時雨と降りぬれば
しのぶの山も色づきにけり
- 歌の意味
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あなたを恋い慕って流す涙が時雨となって降ったので、しのぶの山も紅葉して色づいてしまった。忍んでいた恋も色に現れてしまった。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌一 690
詞書は前の歌に続き「題しらず」
君を恋う涙が時雨となって降ったので、しのぶの山も色づいた、と詠む。時雨が木々を紅葉させるという通念を踏まえ、恋の涙を時雨に見立てて、陸奥の信夫山を紅葉させたと詠み、「しのぶ」に「忍ぶ」を掛けて、忍んでいた恋も表に現れてしまったことを表している。
作者の「祝部宿禰成仲」は日吉社の禰宜を務めた神官である。歌人として多くの歌合に加わった。
次歌の第六百九十一首も「しのぶの山」が時雨れて色まさると詠み、同じ歌枕に寄せる二首が並ぶ。初句の「君恋ふる」は本巻の第六百七十五首の初句と同じ句である。
初句「君恋ふる」は、あなたを恋い慕う、の意である。第六百七十五首の初句と同じ句である。
二句「涙時雨と」は、涙が時雨となって、の意で、涙を時雨に見立てる。時雨は木々を紅葉させるものとされた。
三句「降りぬれば」の「ぬれ」は完了の助動詞「ぬ」の已然形で、「ば」が付いて、降ったので、の意となる。
四句「しのぶの山も」の「しのぶ」は、陸奥国の信夫山と、恋心を忍ぶ意を掛ける。次歌の二句「しのぶの山の」と同じ歌枕である。
結句「色づきにけり」の「色づく」は紅葉する意と、恋心が表に現れる意を重ねる。「に」は完了、「けり」は気づきの詠嘆である。
しぐれ:秋の末から冬の初めにかけて降ったりやんだりする雨
しのぶ:陸奥国の信夫と、恋心を忍ぶ意を掛ける
いろづく:紅葉する。恋心が表に現れる意を重ねる
- 作者
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祝部成仲
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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我が床はしのぶの奥の真菅原 露かかりても知る人のなき
- 次の歌
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いかにせむしのぶの山の下紅葉 しぐるるままに色のまさるを