古典和歌stream

竜田山麓の里は遠けれど
嵐のつてに紅葉をぞ見る

歌の意味
竜田山の麓の里は遠いけれども、嵐が運んでくる便りとして、紅葉を見ることだ。
鑑賞
巻第五 秋歌下 373

詞書「落葉の心をよめる」
 落葉の題で詠んだ歌である。紅葉の名所の竜田山の麓の里は遠く離れているけれども、嵐が運んでくる便りとして、その紅葉を見ることができる、と詠む。遠くの山から嵐に乗って飛んでくる落葉を、竜田山からの便りに見立てている。
 作者の「祝部成仲」は日吉社の禰宜を務めた神職である。院政期の歌人として歌合などで活躍した。
 次歌の第三百七十四首も同じ落葉の題で詠まれた歌である。本巻の第三百六十七首も竜田山を詠む。

 初句「竜田山」は大和国の紅葉の名所である。本巻の第三百六十七首と同じ初句である。
 二句「麓の里は」は、竜田山の麓の里で、紅葉の名所の里をいう。
 三句「遠けれど」の「ど」は逆接で、遠いけれども、と距離を示す。
 四句「嵐のつてに」の「つて」は、ことづけ、便りの意で、嵐をことづけを運ぶ使いに見立てる。
 結句「紅葉をぞ見る」の「ぞ」は係助詞で、「見る」と連体形で結ぶ。遠くの紅葉を嵐の便りとして見ることを強める。

つて:ことづけ、便り、また人を介して伝わること
たつたやま:大和国の山で、紅葉の名所
作者
祝部成仲
出典
千載和歌集
前の歌
今ぞ知る手向の山は紅葉葉の 幣と散り交ふ名こそありけれ
次の歌
吹き乱る柞が原を見渡せば 色なき風も紅葉しにけり