帰る雁幾雲居とも知らねども
心ばかりをたぐへてぞやる
- 歌の意味
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帰ってゆく雁が、どれほど遠い雲のかなたまで行くのかもわからないが、せめて私の心だけでも連れ添わせて送り出すことだ。
- 鑑賞
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巻第一 春歌上 39
詞書は前の歌に続き「帰雁の心をよみ侍りける」
前歌に続いて「帰雁」を題として詠んだ歌である。北へ帰ってゆく雁がどれほど遠くの雲のかなたまで行くのか見当もつかないが、身は共に行けなくとも、せめて心だけは雁に寄り添わせて送り出そう、と詠む。去りゆく雁への名残惜しさを、心を添えるという形で表している。
作者の「祝部宿禰成仲」は祝部成仲である。日吉社の禰宜を務めた神官で、長寿を保ち、多くの歌合に出詠した。
初句「帰る雁」は、北へ帰ってゆく雁で、一首の主題を示す。
二句「幾雲居とも」の「雲居」は雲のあるところ、はるか遠い空をいう。いくつ雲を越えた遠くまでとも、の意となる。
三句「知らねども」の「ども」は逆接の接続助詞で、わからないけれども、の意である。
四句「心ばかりを」の「ばかり」は限定の副助詞で、せめて心だけを、の意となる。前の第三十七首、第三十八首が雁を見送る景を詠んだのに対し、本歌は見送る側の心を雁に添わせている。
結句「たぐへてぞやる」の「たぐへ」は連れ添わせる意で、「ぞ」は係助詞、「やる」と連体形で結ぶ。帰雁の歌の一連はここで結ばれる。
くもゐ:雲のあるところ、はるか遠い空
たぐふ:連れ添わせる、伴わせる
- 作者
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祝部成仲
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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天つ空ひとつに見ゆる越の海の 波を分けても帰る雁がね
- 次の歌
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春はなほ花の匂ひもさもあらばあれ ただ身にしむは曙の空