逢坂の関には人もなかりけり
岩間の水のもるにまかせて
- 歌の意味
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夜の逢坂の関には関守の人もいなかったことだ。岩の間の水が漏れ流れるのにまかせ、関の守りもその水にまかせて。
- 鑑賞
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巻第八 羈旅歌 522
詞書「夜逢坂の関を過ぐとて、よめる」
夜に逢坂の関を通り過ぎる時に詠んだ歌である。逢坂の関には番をする人もいなかった、岩の間の水が漏れ流れるのにまかせて、と詠む。関守の姿もない夜の関に、岩間から漏れる清水の音だけが聞こえるさまを、関の守りを水にまかせていると見立て、静まり返った夜の関の趣を表している。
作者の「祝部成仲」は日吉社の禰宜を務めた祝部氏の人である。院政期の歌合に多く加わった。
初句「逢坂の」は山城と近江の境にあった逢坂の関で、巻頭の第四百九十八首も逢坂の関を詠む。次歌の第五百二十三首も逢坂の関を詠み、三首とも関の清水や岩間の水を取り上げている。
二句「関には人も」の「人」は、関を守る関守をいう。
三句「なかりけり」の「けり」は気づきの詠嘆の助動詞で、関守もいなかったことだ、の意である。ここで句切れとなる。
四句「岩間の水の」は岩の間から湧き出る水で、逢坂の関の清水をいう。
結句「もるにまかせて」の「もる」に、水が漏れる意と、関を守る意とを掛ける。関守のいない関を、岩間の水が漏れ流れるままに守らせている、と見立てる。三句と倒置の関係にある。
いはま:岩と岩の間
もる:水が漏れる意と、関を守る意を掛ける
- 作者
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祝部成仲
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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月見ればまづ都こそ恋しけれ 待つらむと思ふ人はなけれど
- 次の歌
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越えて行く友やなからむ逢坂の 関の清水のかげ離れなば