磯隠れかきはやれども藻塩草
立ち来る波に現れやせん
- 歌の意味
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磯に隠れて藻塩草をかき集めるように、人目を忍んで手紙を書いて送りはしたけれども、藻塩草が寄せてくる波に洗われて現れるように、人に知られてしまいはしないだろうか。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌二 748
詞書「忍伝書恋といへる心を詠める」
「忍伝書恋」、すなわち人目を忍んで手紙を伝える恋という題で詠んだ歌である。磯に隠れて藻塩草をかき集めるように手紙を書き送ったが、寄せてくる波に藻塩草が現れるように、人に知られてしまわないだろうか、と詠む。藻塩草を掻き集めることに手紙を書くことを重ね、密かに送った恋文が人目に触れることを恐れる心を表している。
作者の「藤原家実」は平安時代末期の官人、歌人である。経歴の詳細は多く伝わらない。
初句「磯隠れ」は、磯の陰に隠れて、の意で、人目を忍ぶことを重ねる。
二句「かきはやれども」の「かき」は、藻塩草を掻き集める意の「掻き」に、手紙を書く意の「書き」を掛ける。「やる」は送る意で、書いて送ったけれども、の意である。
三句「藻塩草」は、塩を焼くためにかき集める海藻で、書き集めた文の意にも用いられる。
四句「立ち来る波に」は、寄せてくる波に、の意で、人のうわさが立つことを響かせる。
結句「現れやせん」の「や」は疑問の係助詞、「せん」は「む」の連体形で、現れてしまわないだろうか、の意である。藻塩草が波に洗われて現れることと、恋が人に知られることとを重ねる。
かく:藻塩草を掻き集める意と、手紙を書く意を掛ける
もしほぐさ:塩を焼くために掻き集める海藻。書き集めた文の意にも用いる
やる:手紙などを送る
- 作者
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藤原家実
- 出典
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千載和歌集
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恋をのみしぐるる空のうき雲は 曇りもあへず袖濡らしけり
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暮れにとも契りて誰か帰るらん 思ひ絶えたる曙の空