恋ひわびてあはれとばかりうち嘆く
ことよりほかの慰めぞなき
- 歌の意味
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恋しさに思い悩んで、ああとため息をついて嘆くことのほかには、何の慰めもない。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 851
詞書「権中納言俊忠、中将に侍りける時、歌合し侍りけるに、恋歌とて詠める」
藤原俊忠が中将であった時に催した歌合で、恋の歌として詠んだ歌である。恋に思い悩んで、ああとばかり嘆くことのほかに慰めはない、と詠む。恋の苦しさを晴らす手立てはなく、ただため息をついて嘆くことだけがわずかな慰めになっているという、行き場のない恋の心を飾らずに表している。
作者の「伊与三位」は藤原兼子である。原文には「藤原敦兼朝臣母」と注記があり、藤原敦兼の母である。藤原顕綱の娘で、堀河天皇の乳母を務め、伊予三位と呼ばれた。詞書の「権中納言俊忠」は藤原俊忠で、藤原俊成の父である。
本巻の第八百九十九首も初句を「恋ひわびて」で始め、恋に疲れ果てた嘆きを詠んでいる。
初句「恋ひわびて」の「わぶ」は思い悩む、つらく思う意で、恋しさに思い悩んで、の意である。本巻の第八百九十九首の初句と同じである。
二句「あはれとばかり」の「あはれ」はため息とともに漏れる感動詞で、「ばかり」は限定の副助詞である。ああ、とだけ、の意となる。
三句「うち嘆く」の「うち」は語調を整える接頭語で、ため息をついて嘆く、の意である。
四句「ことよりほかの」はそのことのほかの、の意で、嘆くことだけが慰めであることを示す。
結句「慰めぞなき」の「ぞ」は強意の係助詞で、「なき」と連体形で結ぶ。慰めはほかにない、と言い切っている。
こひわぶ:恋しさに思い悩む
- 作者
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藤原兼子
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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逢ひ見むと言ひわたりしは行く末の 物思ふことのはしにぞありける
- 次の歌
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立ち帰る人をも何か恨みまし 恋しさをだに留めざりせば