契りしももろともにこそ契りしか
忘れば我も忘れましかば
- 歌の意味
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約束したのも、二人一緒にこそ約束したのだった。あなたが忘れるのなら、私も同じように忘れることができたらよいのに。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 864
詞書「契りけること違ひにける女につかはしける」
約束したことをたがえた女に送った歌である。約束したのも二人一緒に約束したのだ、あなたが忘れるなら私も忘れられたらよいのに、と詠む。約束は二人で交わしたものなのに、相手だけが忘れ、自分だけが忘れられずにいる不公平さを嘆いている。「契り」「忘る」の語をそれぞれ繰り返し、二人のものであったはずの約束が片方だけに残された思いを際立たせている。
作者の「参議為通」は藤原為通である。太政大臣藤原伊通の子で、参議に至った。
本巻の第八百四十五首は「契りしことをなほ頼むかな」と、相手が忘れてもなお約束を頼む心を詠み、本歌は相手が忘れたのなら自分も忘れたいと詠んでいる。同じ「契りし」約束をめぐって、すがる心と忘れたい心が対照をなしている。
初句「契りしも」の「し」は過去の助動詞「き」の連体形で、約束したのも、の意である。本巻の第八百四十五首の四句「契りしことを」と同じ「契りし」の語を用いる。
二句「もろともにこそ」の「もろともに」は二人一緒に、の意で、「こそ」は強意の係助詞である。三句の「契りしか」と已然形で結ぶ。
三句「契りしか」は過去の助動詞「き」の已然形で、「こそ」の結びとなる。初句の「契りし」を重ねて、二人で交わした約束であることを強調する。ここで句切れとなる。
四句「忘れば我も」の「ば」は未然形に付く順接の仮定で、あなたが忘れるのなら、の意である。「我も」で、相手と同じく自分も、の意を添える。
結句「忘れましかば」の「ましかば」は反実仮想の仮定で、忘れることができたならば、の意である。後に続く、よいだろうに、の意を言いさして、忘れられない嘆きの余韻を残している。
ちぎる:将来を約束する。特に男女が愛を誓い合う
- 作者
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藤原為通
- 出典
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千載和歌集
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人の上と思はばいかにもどかまし つらきも知らず恋ふる心を
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君にのみ下の思ひはかはしまの 水の心は浅からなくに